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官能能力者 あおい
第3章 淫語の時間
ただ、殆どの場合、車両移動や身体をずらすなどの方法で、エロい視線から逃れることが出来ていた。
これが出来なかったら、私は今頃不登校児の仲間入りだっただろう。

そんなこんながあって、新学期も早1か月半が過ぎた。
さすがに、学校でエロい視線を感じることはなかった。まあ、私ってばそんなにめっちゃかわいいわけでもないし、そういう対象に見られていない、ってだけかもしれないけどさ。
(まあ、見られたらきっとメッチャ困るんだけど)

それで、安心していた。が、それがまずかったのかもしれない。

あれは、5月下旬のある日。
2時間目の国語の時間のことだった。

私は一応理系だけど、結構国語も好きだ。今回の題材は中島敦の「山月記」だ。
高慢な李徴が虎になってしまう有名なお話だ。

先生が黒板に段落の構造を書き下す。李徴が一体どういう心境で袁傪に語りかけているのか、そんな内容だった。

「はい、次の段落、佐竹さん、読んで」
先生が当てると、佐竹さんがきれいな声で朗読をする。うん、やっぱり佐竹さん良い声だ。

ちょっと聞き惚れていると、
ゾワリ、と悪寒に似た感じが背中を這った。

なに??

初めての感覚だった。いつもの性感?
ソレにしてはちょっと感じが違った。
ゾワゾワした感触が私の両の耳に集中する。

なにか聞こえる?

「・・・こ、・・・んこ・・・」

何?
私は思わず耳に集中してしまった。

「・・・まんこ、ああ・・・おまんこ・・・」

え?え?なに、何言っているの?
おもわず周りを見回しそうになる。
いや、これって、私にしか聞こえていない?

もしかして、これも性感の一種?

意識しだすどもう駄目だった。
佐竹さんのきれいな音読の声に混ざり、両耳にいやらしい言葉が注ぎ込まれてくる。

「おまんこ、ああ、おまんこ・・・なめる、舐めたいよ
 きれいなおまんこ、クリトリスをチュチュって吸って、ほら、気持ちいいだろう?」

「ねえ、あおいちゃん・・・」

えええ!やっぱり私に向けられてる!!
誰よ・・・神聖な授業中にこんな事考えて人のこと見ているの!
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