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部屋
第3章 最良の治療法
「がちゃ」
「お、お邪魔します」
久しぶりだ。ほかの人の家。
「まぁ、座ってよ」
女性が奥の椅子に座ったので、私は手前に座る。
「それで、なんであんなとこにいたのさ」
ここは話さないのが正解なんだけど、この人の包容力。
なんだか、話してもいいと思わせるような雰囲気。
「もう、すべてが嫌になって」
「学校?」
「はい」
「いじめ?」
「はい」
「親は?」
「母は1年前に亡くなって、そのショックで父親が酒におぼれちゃって」
「それは大変だね。それで死のうとしたの?」
「はい。もう生きている意味なんて……」
ない。と言おうとしたがその言葉は涙と嗚咽でかき消される。
「そっか、君には治療が必要だね」
「……治療?」
「君、名前は?」
「|安東早苗《あんどうさなえ》です。」
「早苗ちゃんだね。私は|黒葉雪子《くろばゆきこ》。雪さんって呼んでよ。
 さ、こっちこっち。」
雪さんに手招きされた方へ行くと、そこには
「へ?」
ダブルベッドがあった。


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