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あかりのセックスボランティア
第7章 7 胸を張って生きていこう!
「こんにちは、私は女性相談支援センターの相談員のあかりです。弁護士の先生にお話を聞いて貰う前に、まず私が佐藤さんのお悩みを聞かせて頂いてもいいですか?」
東京都新宿区の女性相談窓口で、私は「あかり」とだけ書かれた名札を首から下げて訪れた女子高生と面談していました。
「は、はい……。私、実のお兄ちゃんからずっとレイプされてるんです。私が小学生の時から、何度も……。お母さんに話したら、お兄ちゃんは受験勉強で大変なんだからそれぐらい付き合ってあげなさいって言われて。私、このままじゃもう……」
「分かりました。佐藤さんはここに来られたならもう大丈夫です。今日のうちにあなたをシェルターに保護して、お兄さんとは一生会わなくて済むようにします。……私は、いつだって佐藤さんの味方ですから」
机の向かい側で泣いている佐藤さんの両手を机の上で握って、私は優しく語りかけます。
かつての私のような辛い境遇にいる女性を支えてあげることが、私のこれからの人生の意味になるのでしょう。
「私、こんなに辛い人生なら生まれてくるんじゃなかった。いっそのこと、お兄ちゃんを殺して私も死んじゃえば……」
「佐藤さんは、幸せになれますよ」
「えっ?」
「私も、同じような人生を抜け出して今ここにいます。……一緒に、胸を張って生きていく方法を考えましょう」
無言で佐藤さんの両手を握ったまま微笑みを浮かべると、佐藤さんも少しだけ表情を緩めてくれました。
この残酷な社会で、一人でも幸せな人を増やしていけますように。
天国にいるヒカルちゃんへ。
あかりお姉ちゃんは今、幸せです。
いつか、ヒカルちゃんと天国でまた会えるように。
あかりは、胸を張って生きていきます。
(完)
東京都新宿区の女性相談窓口で、私は「あかり」とだけ書かれた名札を首から下げて訪れた女子高生と面談していました。
「は、はい……。私、実のお兄ちゃんからずっとレイプされてるんです。私が小学生の時から、何度も……。お母さんに話したら、お兄ちゃんは受験勉強で大変なんだからそれぐらい付き合ってあげなさいって言われて。私、このままじゃもう……」
「分かりました。佐藤さんはここに来られたならもう大丈夫です。今日のうちにあなたをシェルターに保護して、お兄さんとは一生会わなくて済むようにします。……私は、いつだって佐藤さんの味方ですから」
机の向かい側で泣いている佐藤さんの両手を机の上で握って、私は優しく語りかけます。
かつての私のような辛い境遇にいる女性を支えてあげることが、私のこれからの人生の意味になるのでしょう。
「私、こんなに辛い人生なら生まれてくるんじゃなかった。いっそのこと、お兄ちゃんを殺して私も死んじゃえば……」
「佐藤さんは、幸せになれますよ」
「えっ?」
「私も、同じような人生を抜け出して今ここにいます。……一緒に、胸を張って生きていく方法を考えましょう」
無言で佐藤さんの両手を握ったまま微笑みを浮かべると、佐藤さんも少しだけ表情を緩めてくれました。
この残酷な社会で、一人でも幸せな人を増やしていけますように。
天国にいるヒカルちゃんへ。
あかりお姉ちゃんは今、幸せです。
いつか、ヒカルちゃんと天国でまた会えるように。
あかりは、胸を張って生きていきます。
(完)