この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
月の裏で会いましょう-revised-
第9章 幽霊
「誰?」
怯えた声で、以舞が外に向かって言った。ドアは昴が閉め忘れて半開きになっていた。その向こうの廊下は、日の当たる個室と対照的に、暗く沈んでいてよく見えない。私は部屋の外を確認しようとして立ち上がると、以舞がものすごい力で服を引っ張って引き留めた。
「ダメ、行っちゃダメ」
以舞は声を震わせながら、ドアの隙間から漏れる暗闇をじっとうかがっていた。直後、近づいて来る何かから逃げるように体を反らせ、切羽詰まった声で以舞は叫んだ。
「…来ないで、来ないで、来ないで!」
ドアの向こうから近づいて来る人影などなかった。私はどうしていいかわからず、以舞の肩を抱いた。
怯えた声で、以舞が外に向かって言った。ドアは昴が閉め忘れて半開きになっていた。その向こうの廊下は、日の当たる個室と対照的に、暗く沈んでいてよく見えない。私は部屋の外を確認しようとして立ち上がると、以舞がものすごい力で服を引っ張って引き留めた。
「ダメ、行っちゃダメ」
以舞は声を震わせながら、ドアの隙間から漏れる暗闇をじっとうかがっていた。直後、近づいて来る何かから逃げるように体を反らせ、切羽詰まった声で以舞は叫んだ。
「…来ないで、来ないで、来ないで!」
ドアの向こうから近づいて来る人影などなかった。私はどうしていいかわからず、以舞の肩を抱いた。