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月の裏で会いましょう-revised-
第9章 幽霊
以舞は私をじっと見つめたまま、ゆっくりと頷くと、誰かに聞かれるのを恐れるように小さな声を震わせて話し始めた。

「…春休み、突然陣痛が来て、病院に運ばれたの…。翌日産まれて、助産師さんやお医者さんに、その子を渡した。そういうふうにするって、前から話し合ってたから。あたしは産んで、少しして退院して、一人で家に帰ったの。途中で胸が熱を出すほど張って痛かった。あたしの体は捨てた赤ちゃんに飲ませるために必死に母乳を作ってる、なのにあたしは何しているんだろうって、悲しくなった」

昴の顔色は真っ白で目元がひきつっていた。私は思わず昴の腕をぎゅっとつかんだ。
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