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月の裏で会いましょう-revised-
第9章 幽霊
「お父さんとは?」
「母さんさ、流産したのをきっかけに、精神的なバランスを崩したんだ。そのとき父親は急に家を出ていった。俺が十七歳のとき。そのあと離婚届が送られてきた。代理の弁護士かなんかが来て、いろんな手続きをしに来た。母親はだまって、離婚手続きを受け入れて、それからずっと一人」
私は淡々と語った昴の手を握った。
ひとりっこの昴は十七歳で父を失い、今に至るまで一人で不安定な母を支えてきたことになる。
「もしかして、お母さんがここに入居するからって、昴もあの倉庫に越してきたの?」
「母さんさ、流産したのをきっかけに、精神的なバランスを崩したんだ。そのとき父親は急に家を出ていった。俺が十七歳のとき。そのあと離婚届が送られてきた。代理の弁護士かなんかが来て、いろんな手続きをしに来た。母親はだまって、離婚手続きを受け入れて、それからずっと一人」
私は淡々と語った昴の手を握った。
ひとりっこの昴は十七歳で父を失い、今に至るまで一人で不安定な母を支えてきたことになる。
「もしかして、お母さんがここに入居するからって、昴もあの倉庫に越してきたの?」