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月の裏で会いましょう-revised-
第10章 どこまでも一緒に
この倉庫が昴にとって本当に居心地のいい場所ではないことに、今になって気付いた。

初めてこの場所に来たときは、子供の頃憧れた秘密基地をそのまま再現したようで、胸が躍ったものだった。

けど昴の事情を知った今となっては、この薄い壁一枚のがらんどうの空間は、昴の孤独を映し出す虚しい空洞のように思えた。

病弱な母を思いながらここで一人不安な夜を過ごしてきたと思うと、たまらなかった。ここは人が住む場所ではない。物置だ。そこで自分を物のように扱って、毎日をかなぐり捨てるように暮らしてきた昴の姿を知って、なぜだか無性に悔しくなった。

「お母さんは昴にとってかけがえのない存在。それ、よくわかる。だけどね、昴は昴の幸せを自分で手にしなくちゃ。自分を大切にしなきゃいけない。それが、お母さんのためでもあると思う」
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