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月の裏で会いましょう-revised-
第2章 初めての夜
「いやがってるよ、やめなよ」
気が付くと、さっきまでターンテーブルをいじっていた若い男の子が、男の腕をつかんでいた。
明るい金色に染め上げた、長めの前髪の下で、茶色い目が鋭く光っている。
ヴィンテージTシャツに色褪せたデニムを履いた彼は、近くにいると思い切り見上げなければならないほど背が高かった。
「俺はこの女の子と話してんだけど。手、離してくれないかな」
「いやだ」
気障男が腕を振りほどこうと試みるが、思いのほか、がっちりとつかまれているらしく、手は繋がれたままだ。
客たちの視線が、私たちの方に注がれている。
「二人とも離れて」
事を収めようと声を低くしてマスターが間に入るけど、二人はじりじりと距離を詰めてにらみ合うのをやめない。
気が付くと、さっきまでターンテーブルをいじっていた若い男の子が、男の腕をつかんでいた。
明るい金色に染め上げた、長めの前髪の下で、茶色い目が鋭く光っている。
ヴィンテージTシャツに色褪せたデニムを履いた彼は、近くにいると思い切り見上げなければならないほど背が高かった。
「俺はこの女の子と話してんだけど。手、離してくれないかな」
「いやだ」
気障男が腕を振りほどこうと試みるが、思いのほか、がっちりとつかまれているらしく、手は繋がれたままだ。
客たちの視線が、私たちの方に注がれている。
「二人とも離れて」
事を収めようと声を低くしてマスターが間に入るけど、二人はじりじりと距離を詰めてにらみ合うのをやめない。