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月の裏で会いましょう-revised-
第15章 悪夢
「もう大人だっていうのに」
まだ貯金してくれているのかな、と何の気なしに一冊を開いてみる。それなりに働いているから、あてにしようとかそんなつもりはなかった。単純に、父と母が、私がいない間も自分を思ってくれていることを、なんとなく確認したかったのだった。
開いて視線を落とした直後、玄関のチャイムが鳴った。まいど越後屋です、と元気な男性の声が響いた。
「相変わらず早いんだ」
私は通帳を戻し、スリッパをパタパタ鳴らして玄関に向かった。