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月の裏で会いましょう-revised-
第3章 再会(1)
カウンターを挟んだ向こうのキッチンはすでにフル稼働で、ステンレスどうしのぶつかる音、包丁がまな板を打つ音がせわしなく聞こえ、奥はもわもわと湯気が煙っている。スクランブルエッグを仕込むバターの甘い香りが漂ってくる。

私の立っているファウンテンエリアは、ソフトドリンク、デザート、アルコールを作るカウンターだ。グラス類をそろえ、ドリンクの量を確認し、冷蔵庫、フリーザーの温度をチェックする。

ビールサーバーにつなげた樽ビールの残量が少ないのを確認し、バックスペースのパントリーに入った。十リットルのビール樽の持ち手を掴む。かなりの重さがあるので、傾けて斜めにして、ゴロゴロと床の上を転がしながら運び出す。

その時、パントリーの出口に誰かが近づいてきて、横から手が伸びたと思うと、その手が重い樽を持ち上げた。

見上げた瞬間、息を呑んだ。
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