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月の裏で会いましょう-revised-
第20章 月の裏側へ(1)
だとしたらその人は今、どこで何をしているのだろう。





「咲良」

背後で私の名前を呼ぶ声がした。振り返ると、そこに男の子が立っていた。

「咲良」

名前を呼ばれ、胸が早鐘を打つ。自分を知っている人がこの土地にいることが驚きだった。

ただ、胸の鼓動の原因は、それだけではないようだった。

私を呼ぶその声が、私の胸を突き上げるようにたかぶらせたのだ。懐かしいような、甘く蕩かされるような、胸の奥の柔らかい場所にまで響いて来る声だった。


「昴だよ」

少し疲れた様子の金髪の男の子は、照れ臭そうに言った。家系図にあったその名前を思い出し、私は砂浜から立ち上がった。

「弟の、昴くん?」
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