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月の裏で会いましょう-revised-
第21章 月の裏側へ(2)
できればもうこれ以上のろけ話は聞きたくない。昴と話しながら、胸からこみ上げる得体の知れない不快感を、私は持て余していた。
「咲良にお土産がある。部屋に来てよ」
昴は言った。明日は休日だから、慌てて寮に戻る必要もない。
不快感は一掃され、こんどは胸がどきどきしてしまって、渇いた唇を何とか動かして答えた。
「いいよ」
グリーンヒル棟の一階のツインルームに通された。モータウンかなにかの古いソウルミュージックが、部屋のスピーカーから流れていた。