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月の裏で会いましょう-revised-
第21章 月の裏側へ(2)
鬱蒼と茂る緑がライトアップされた植栽が窓の向こうに広がっている。まるでジャングルにある隠れ家に人知れず潜んでいるような気分だ。誰にも邪魔されない、静かな緑の奥深く。
窓際の椅子に座ると、昴が2つグラスを並べて、おみやげだと言う缶ビールを注いでくれた。
「今日も一日よく頑張りました」
グラスを軽くぶつけると、昴はそれを飲まないで光にかざし、小さな光の粒が弾ける金色の液体を見つめた。
「初めて会った日、このビールの色が、俺の髪の色に似てるって言われたんだ。その人はじっと、俺とグラスを見比べた。そうやって見つめられて、俺は完全に、その人に恋に落ちた」