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月の裏で会いましょう-revised-
第7章 陸翔と昴
私はカウンターに駆け寄ってガスの火を消し、陸翔の目の前でひらりと手のひらを振った。
我に返ったように陸翔は焦点を合わせ、なんだか焦ったような顔つきて玄関に出ると、昴の背中を押し出すようにして外へ出ていく。
「咲良、コーヒー落としといて」
「うん、わかった」
ドリップポットを回し、フィルターの中で膨らむコーヒーの粉を見守りながら、ふと窓の外を見やると、陸翔と昴が話しているのが見える。
昴は話しながら時折頭上の小枝を仰いだり、うつむいたりして、時折口の端に苦笑いが滲むのが見えた。
「お兄ちゃんたら、さっそく質問攻めか」
私は玄関のドアを開いて二人を呼んだ。
「コーヒー冷めちゃうから入って」