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♥crack an APPLE♥
第2章 光の見えない籠の中で甘い唄を
「……ん」



小鳥のさえずりに、巴月はパチリと目を覚ます。



豪華絢爛な装飾の家具。

天蓋のついた大きなベッド。

高い天井。



「……どこ?」

「お目覚めですか、お姫様」

「……!?」



目が覚めた巴月がまず思ったのは、「ここは知らない場所だ」ということ。

そして次に思ったのは「なぜ自分がこんなところにいるのか」ということ。

ぐるぐると頭の中を渦巻く謎は、巴月を呼ぶ声によってはじけ飛ぶ。



「あ、なたは……」

「おはよう――ハヅキ。よく寝れた?」



部屋の入口に寄りかかるようにして立っていたのは――秋埜。

腕を組み、不敵な笑みを浮かべて巴月を見つめている。



彼の姿を認識した瞬間、巴月はガタガタと震えだした。

昨日のことが脳内にフラッシュバックする。

夢じゃない。

自分は今、このヴァンパイアの住処に連れてこられている。



もう助からない。

そう思った。

きっと、このヴァンパイアに好きなように弄ばれて殺されるに違いない。

抵抗する術など自分はもっていないのだから。



そう悟った巴月は、その絶望を汲んだ憂いの色を瞳に浮かべた。



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