この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
♥crack an APPLE♥
第5章 それが糧とならないように祈りましょう
―――――
―――
――……
「……、」
夕焼けの眩い茜色が水望を夢から引き戻した。
すっかりさめてしまったアールグレイが水望がどれほど長く眠っていたのかを示している。
ソファから体を起こし、水望は冷たいアールグレイを一気に飲み干した。
毎日のようにみているというのに、夢でも彼女に会いたいなんて、そう思う。
自分はおかしいのかもしれない、そう最近思い始めていた。
こんなに一人の人を愛してしまうなんて、それなのにこうして大人ぶってなんでもない態度をとって。
本当は今すぐに彼女を抱きしめたい。
会いに行って、突然現れた自分にびっくりする彼女の唇に口付けたい。
「――」
愛しい。
心臓が壊れてしまうくらいに。
彼女の笑顔がどうか――
僕だけのものになってくれないだろうか。