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♥crack an APPLE♥
第5章 それが糧とならないように祈りましょう
「あ、あの! 私を弟子にしてください!」
最近、考えていたことだ。
巴月は水望に恋心を自覚するようになってから、自分の小ささについて悩むようになっていた。
水望は有名なエクソシストで、とても自分のように平凡な……寧ろ人に嫌われ世間的に地位の低い人間がこんなにそばにいてもいいのかと。
もしも、自分もエクソシストになれたならば少しは違ってくるかもしれない。
そんなことを巴月は考えていたのだ。
「うーん、でもエクソシストは危険だよ?」
「う……でも私、もっと水望さんに近づきたくて……」
「……うん、じゃあ……護身術程度なら教えてあげる。巴月が自分で身を守れるようになったら僕も安心だしね」
「や、やったぁ……! 水望さん、ありがとうございます!」
水望に近づくことができるかもしれない。
その喜びに頬を染めてはしゃぐ巴月を、水望は目を細めて見つめていた。
「巴月」
「はい」
「……ううん、名前呼んでみたかっただけ」
――好きだよ。
その言葉を飲み込んだ水望の顔は、穏やかで、でもとても幸せそうで。
巴月はまた、泣きそうになった。