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一夜限りでは終わりたくない
第2章 曖昧な関係
「では秘書さん、このまま藤堂の家に運んでくれるかな。」
牧野は外で待っていた秘書の一ノ瀬に声を掛けた。
「…はい。藤堂副社長からそのように言われております。」
車のトランクに入りきれない服が後部座席も占領するほどだ。
一ノ瀬は助手席のドアを開けて私に微笑んだ。
「荷物が多いので、助手席にお乗りください…それと、本日の午後は仕事に戻らなくても良いと営業部に確認を取ってあります。」
さすが秘書だ。すでに営業部へも連絡済みとは驚いた。
藤堂副社長の家に着くと、年配の家政婦が出迎えてくれる。
優しそうな笑顔にホッとする。
「翔也さんのお部屋の隣に桜井様のお部屋を用意してあります。」