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わたしの彼は 甘くて強引
第2章 再会から一年…

そのころ、
匠はというと…――
「……ムスッ」
失敗した…
温泉はミスチョイスだな、
考えてみれば柚子とずっとばらばらだ。
暇すぎる…。
男湯の方は、老人が数人と同世代の男が匠以外に一人。
匠は湯の中で脚を組み腰掛け、へりに肘をついて額に手を添えた。
「――くそっ」
さすがに貧乏揺すりはしていないが苛ついているのは確かだった。
今ごろ、横の壁の向こうではあいつが……上気した顔で湯に浸かっていることだろう。
その姿を想像しただけでたまらず襲いたくなるが…
周りは婆さんだらけだろうからな。それは却下だ。
「――…」
今だけは、あいつに安らぐ余裕を与えてやろう
まぁ、確かに
眺めは絶景だ――
彼も柚子と同じように、暮れゆく日の色に頬を緩めていた。

