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わたしの彼は 甘くて強引
第2章 再会から一年…

「…そういえば皆さん、お肌凄く綺麗ですよね。よく此処へ来られるんですか?」
「わたしらは地元の人間さぁ。冬にはお前さんのような若いもんもいっぱい来るがね」
「…へぇ、冬になると何かあるんですか?」
そう聞いた彼女に、お婆さんは誇らしげに語った。
「冬になったらここらは一帯、雪景色に変わるからねぇ。熱い湯に浸かって見るその景色はそりゃあもう別格だよ」
「……」
見たかったなぁ
その雪景色
柚子は露天の奥へと湯の中を進み、眼下の景色を覗き見た。
彼女がいる場所は少し高地にあるために、竹柵の向こうに針葉樹の林が見渡せる
地平線の代わりにあるのが
横に広がる水平線
そしてちょうど、
日暮れ時――
「…島のシルエットも見えるわ」
一面の夕焼けとまではいかないにしても、茜色の空はやはり美しい――
匠さんも、同じ景色を見ているのだろうか
柚子はクスリと笑っていた。

