この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
わたしの彼は 甘くて強引
第10章 大切な人

この辺りで《三上法律事務所》など、思い当たるところはひとつしかなかった。
「…まさか自分の娘を、君の事務所に放り込むことになろうなんてね、栄作」
「何だその言い方は?」
「それはそうと、君の兄は元気にやっているのかい?」
「兄貴か…」
栄作の兄
つまり翔の父親
「あいつは相変わらず仕事バカだよ。官僚になんてなるなと言ったのに、…忙しく飛び回っているさ」
「そうか…もうすぐ私たちも老後だと言うのに、大変な道を選んだものだよ」
「お前はどうしてる?」
「気楽に事務所で、数少ない顧客を待つ毎日だ」
小学生から仲の良かった二人は、どんな偶然か中学、高校さらには大学と同じ所に通い、
そして柚子の父親は検事に
栄作は弁護士に。
結婚して遠くに引っ越した彼はそこで、弁護士に変わって今にいたる。

