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わたしの彼は 甘くて強引
第10章 大切な人

この辺りで《三上法律事務所》など、思い当たるところはひとつしかなかった。


「…まさか自分の娘を、君の事務所に放り込むことになろうなんてね、栄作」

「何だその言い方は?」

「それはそうと、君の兄は元気にやっているのかい?」

「兄貴か…」


栄作の兄

つまり翔の父親



「あいつは相変わらず仕事バカだよ。官僚になんてなるなと言ったのに、…忙しく飛び回っているさ」


「そうか…もうすぐ私たちも老後だと言うのに、大変な道を選んだものだよ」


「お前はどうしてる?」


「気楽に事務所で、数少ない顧客を待つ毎日だ」



小学生から仲の良かった二人は、どんな偶然か中学、高校さらには大学と同じ所に通い、

そして柚子の父親は検事に
栄作は弁護士に。


結婚して遠くに引っ越した彼はそこで、弁護士に変わって今にいたる。



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