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わたしの彼は 甘くて強引
第10章 大切な人

何だろう、この
すごく馴染みのある名前は
「矢崎さん…?」
何故か聞き返してしまう
「ええ、矢崎です。翔さんの事は娘からよく聞かされていますよ」
「娘って…!」
もしかして――
「…柚子さんのことですか」
「ええ、そうです」
「……!」
――柚子の父親
別に驚くような事でもないのだが、唐突な訪問はやはり彼を動揺させた。
でも言われてみれば
何となく同じ雰囲気を感じる。
礼儀正しい物腰の中にも相手に気を遣わせない親しみやすさは、まさに彼女だ。
「三上翔という親切な先輩がいると、あの子がよく電話で話していますよ。…だがしかし、栄作の甥にあたる方だったとは」
彼がその事に気付いたのはごく最近
三上先輩が、彼の叔父の弁護士事務所でバイトできるよう取り計らってくれたのだと
これで弁護士の仕事を見て勉強するねと、柚子が電話で話してきたからだ。

