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わたしの彼は 甘くて強引
第2章 再会から一年…

ガタン....ガタン...
「匠さん、…海、見えてきましたよ」
「――…」
「…って聞いてます?」
ガタンゴトンと音を立て
二人の乗る汽車はゆったりと走っている。
太陽を反射してキラキラと光る水面が、景色の遠くに僅かに引っかかった。
「…、海なんぞ見飽きた」
嬉しそうに話し掛けた柚子に、素っ気ない返事がかえされる。
「またそんなこと言って…。こういう汽車から見るのが、また素敵なんじゃないですか」
正面に座っている男
脚を組んで頬杖をつき、窓の外をぼぉっと眺める彼を見て
柚子はムッとした表情になる。
「もう……。わたしの大学卒業と大学院入学のお祝いに、温泉に連れてってくれるって言ったのは匠さんですよ?」
「……ふん」
「――…だったらもっと楽しみましょうよ。病院で怒られて拗ねる気持ちもわかりますけど…」
「拗ねていない」
表情は変えないままに、匠は即座に否定した。

