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わたしの彼は 甘くて強引
第5章 夕暮れの河川敷

「――…!」
「…本当に、娘が御世話になりました」
最後に深々と頭を下げて去ろうとした母親
「…っ…待って下さい」
翔はとっさに呼び止めた。
鞄から名刺を取り出した彼がそれを彼女に差し出すと、両手で受け取った母親は黙ってそれを眺める。
「……?」
「偶然、俺はあなたの助けになれるかもしれない」
「弁護士の方でしたか…!」
《三上法律事務所》
三上 翔
「…ええ、俺はまだ新米ですが、返済計画の相談ぐらいならのれます」
「……!」
「取り敢えず、子供をここで待たせるのは好ましくない。他の方法を考えて下さい」
「はい…っ、すみません」
その時、陽子が遠くから母親を呼んだ。
お腹が減ったと叫んでいる
「この後も仕事ですか?」
「娘を寝かしつけたら…近くの食品工場でもう少し」
母親は軽く会釈して、娘のもとに駆け寄っていく。
二人の姿が角を曲がるのを見届けた翔は
自分も事務所に帰り始めた。

