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血ダマリ美青年の狂気愛
第2章 未知の快楽


少女は泣きながら、フルフルと首を横に振った。


「もっ……もう……許して……ください」


「……」


「……嫌……もう、嫌……!」


自分はこの青年に穢された

何故か本能が、それを知っていた。

だから嘆いている。


「…ぅ、ふぅ…!……グスッ…」


「……」


「こんなの……やめ て」


「──…その涙じゃ興奮しない」


「…!」


すると覗き込んできた青年が、大きな目で彼女の泣き顔をとらえる。

至近距離で見つめてから、そっと頬に手をそえてきた。

触れられた瞬間ビクンと反応した彼女に…じっとりとした視線が絡み付く。

何を見ているのかわからない目が

……ただ、真剣な様子だったのが、意外だった。


ゆっくり顔が近付いて──また唇を奪われそうになる。


「…ッッ…やめて!」


我に返った少女は渾身の力で相手を突き飛ばした。



──逃げないと


「はぁっ……はぁっ……!」


突然の反撃で相手の対応が遅れたすきに、少女はヨロヨロと立ち上がる。

全身が熱くて、腰がガクガク震えて、足に力もはいらない。

そんな身体を引きずるようにして、切られたワンピースを肩にかけ直し、彼女は部屋の出口を目指した。


“ 逃げないと、逃げないとっ……!”


青年のほうを振り向く勇気はない。

ただ自分が出せる精一杯の速さで逃げていた。




青年は無言で、自分を突き飛ばして逃げた女の背中を見ていた。



「──…」







───





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