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血ダマリ美青年の狂気愛
第5章 回顧
ヘンだった。
自分は人を殺している時でしか、感情のたぐいを持ち得ない。その筈なのに……何故か……この女を見ていると……。
「…女は何処だ?」
「貴様に教えてやるものか!失敗作があの子に触れるなど…っ…許すものか」
「そうか。なら自分で探す」
「待て!」
「邪魔だ」
足に掴みかかってきた男の喉を、上からひと突きで刺し殺す。
騒ぎを聞きつけて他にも研究員が現れたが、それらもひとりずつ始末した。
「侵入者か!?誰だお前っ…その先は…!」
「…っ…邪魔だよ」
それほど大切な存在なのか。研究員達は必死の覚悟で、彼の行く手を阻もうとする。
これが執着か…
そう思ったところで、自分以外の何かに執着するなんて事は、彼には理解できない。
....ドサッ
ひとり、ふたりと返り血を浴びて服が汚れていく。
「行かせないわ!!」
向かってくる者の中には女もいた。
同じように殺して、通路の先を進む。
「次から次へとよくやるな」
「…待て…ッ…ハァッ……待て、お前……!」
「あ?死にぞこないか、ちょうどいい。この扉…あんたらの認証カードがないと開かないらしいんでね」
首にさげたカードを奪って、ナイフで心臓を突き──引き抜く。
血が毒々しく噴き出す。
ああ……いい色だ
俺は本当に……こんな瞬間でしか……
...ピピピ
───ガチャ
「───…見つけた」
『 血ダマリ美青年の狂気愛 』(完)