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家庭教師のさよ子先生 誘惑のノースリーブ
第7章 ABC3 小夜子のターニングポイント
「私は、小夜子が立派なお医者さんとして患者さんを救う姿を見てみたかったな。小夜子も医学部に入ったらそんな気持ちになるかも知れないと思っていたけど、これは私のエゴに過ぎなかったね。……小夜子、君が将来どんな大人になったって、私は小夜子の未来を応援するよ。だから……」
「おじいちゃん、死なないでっ! 私、私……」
「お孫さん、手を触れてはいけません! どうか静かに見守ってあげてください」

 最後の言葉を言い終えると同時に口から大量の血を吐いたおじいちゃんに私は駆け寄りましたが、主治医の先生は右手をかざして私を制止しました。

 それから数分もしないうちにおじいちゃんは息を引き取り、私は人生で初めて一人の人間が死を宣告される姿を目にしました。


 寝室の床にくずおれて泣き続ける私に、伯母さんは優しく寄り添って静かに背中をさすってくれました。


 そしてお葬式が執り行われ、おじいちゃんの亡骸が|荼毘《だび》に付される姿を目に焼き付けながら、私は自分の人生の意味を見つめ直しました。



 おじいちゃんの死をきっかけとして、私の人生はターニングポイントを迎えたのです。


 それは、あきとくんとの関係も、万二郎くんとの関係も、チアキくんとの関係も同じことでした。
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