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第1章 はじまり

〜出会いときっかけ〜
カレとの出会いは2年前の4月です。
私が『長』として務める店舗に、アルバイトとして来たカレ。
面接での第１印象は『クマさん』みたいな子…決してイケメンという類ではなく、中の下くらいの普通の青年。小さい頃からしていた柔道を大学でも続けており、がっしり体型で182cmの高身長。

カレと日々関わる中、新たに持った印象は『すごく優しくて良い子』。一生懸命で礼儀正しく社交的で、笑顔を絶やさないカレは、男女問わず職場の大先輩たちから可愛がられる『好青年』。

小さい頃両親が離婚しずっと父子家庭であること、父親のために柔道で大学に進学したこと、安いマンションの家賃だけ支払ってもらい仕送りはほぼないこと…カレの身の上話を聞き『助けてあげたくなる頑張り屋さん』という印象がさらに加わり、ときどきご飯を食べに連れて行ってあげてました。
この時はまだ、カレに対して異性としての認識はなく、どことなく出会った頃の夫に似ていて『かわいい部下』という感覚だけでした。

そんなカレを、異性として意識し始めてしまったのは、その年の夏、職場の飲み会がきっかけでした…
8月、誕生日を迎え２０歳になったカレに、美味しいお酒を飲ませてあげようと、有志メンバーで飲み会を開催。

お酒が入り様々な話で盛り上がる中、彼女がいないというカレに、酔った50代のおじさんがしたふざけた質問…

「この中で付き合うとしたら誰がいい？」

その場にいた女性は私を含め4人、当時46歳の私が最年長、他は30代。カレは少し恥ずかしそうに…

「村崎さん」

その答えに場がさらに盛り上がり、私も…

「ここで私を選ぶなんて、さすが青山くん！給料アップねー！」

なんて冗談のように言いながら、心の中ではすごくドキドキしてました…とにかく嬉しかったんです。
職場で人気のカレが、最年長の私を選んでくれたっていう優越感もあったのかな…空気を読んで無難な正解を答えただけかも…けど、その時の照れながら答えたカレの様子に、本気でそう思ってくれてるように感じたんです。

解散して帰宅した後…
お風呂に入っている時も、寝る前にリビングでもう少しお酒を飲む時も、寝る前も、何度もその時のことを思い返しては、久しぶりに感じた胸のトキメキを年甲斐もなく堪能したこと…
今もまだカレにも言っていない、私だけの秘密です。