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君とメメント・モリ
第1章 窓の向こうに見えるのは、欲情に淫れたあられもない姿の女
冬の澄み切った夜空を切るように滑空し、イルミネーションの灯りに浮かんだ街を見下ろした。
人間たちのぎらついた欲望をそのまま映し出したような、目をそむけたくなるどぎつい光だ。

今日はクリスマスイブ。あまりに浮かれて寒さを忘れた人間たちは、白い息を弾ませて、電飾を纏った並木道を、腕を組んだり手をつないだり、グループではしゃいだりして歩いている。

街を抜け、高層マンションが立ち並ぶ湾岸エリアに向かった。眼前の高層マンションの群れは無数の目で闇を睨む怪物たちが仁王立ちしているかのようだ。人間たちは何が嬉しくて、こんなに醜いものを手間暇かけて作るのか俺には理解できない。
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