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君とメメント・モリ
第18章 死神の秘密
翼の胸板に顔をあずけた凛が、すうすうと寝息を立て始めた。

一方の翼は、なかなか寝付けないまま、先ほどひとりで部屋を抜け出した時のことを思い出していた。

凛の入浴中、落ち着かない思いでいた翼はひとり、ロビーへと降りたのだった。



凛の年末年始の休暇が終わらぬうちにと、翼はこの小さな新婚旅行と称した温泉行きを計画した。
凛とのかけがえのないひと時を過ごそうと心に決めたものの、どうしても不安の影が胸の奥にちらついて、心から楽しむことができない。
硬い表情のままでいる翼を凛は心配し、せっかくの二人の時間がぎこちなく過ぎていった。

凛への愛情が深まるにつれ、翼の胸には、それと同量の悲しみと後悔が募るのだった。

気持ちを入れ替えようとロビーを見回してみる。が、そこにも居場所がないような心地がした翼は、外の風に当たることにした。河原に沿って伸びた散歩道を歩く。見上げると夜空には月が輝いていた。

せせらぎを聞きながら、翼は十六年前の壮絶な体験を思い返した。
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