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君とメメント・モリ
第22章 終章
「ショウちゃんだって、一番が私じゃないでしょ?奥さんのミホちゃんでしょう」
凛はふふふ、と笑ってまた、天井を見上げた。
白い無機質な空気の中を、翼は、形も成さないまま漂っていた。
四角い小さな病室には、凛と、男が二人きり。互いの手を握り合っている。
凛は瞳をじっと天井に向けている。その視線の先に、翼は空気の流れに溶け込んで浮遊していた。
凛はたびたび、こうしてあらぬ方向をじっと見つめることがあった。まるでその先に、誰かがいるかのように、だ。