この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
君とメメント・モリ
第7章 なぜ凛は死のうとしたのか
「でたらめです。私は夏美の前でそんな風に感情的になったことはないはずです。なぜなら私は、自分が怒ったり悲しかったりしても、私自身その感情を把握できないから」
凛がたどたどしく紡ぐ言葉に、男は真剣に耳を傾けている。凛は続けた。
「もやもやと胸の中に、はっきりしない気持ちが渦巻くだけで、表には出ない、というか、いつからか、出せなくなったんです。だから、怒ったり、取り乱したりを、しないというより、できないんです」
突然現れた正体不明の男を前に、凛自身が不思議なくらいに素直に、自分のことを打ち明けた。
凛がたどたどしく紡ぐ言葉に、男は真剣に耳を傾けている。凛は続けた。
「もやもやと胸の中に、はっきりしない気持ちが渦巻くだけで、表には出ない、というか、いつからか、出せなくなったんです。だから、怒ったり、取り乱したりを、しないというより、できないんです」
突然現れた正体不明の男を前に、凛自身が不思議なくらいに素直に、自分のことを打ち明けた。