この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
君とメメント・モリ
第7章 なぜ凛は死のうとしたのか
しかし、それ以上の真相を究明しようという勇気が出ず、何も言い出せないままでいたのだ。なぜなら誘惑事件発覚当時、なりすましメールを送付できる情報管理課にいた社員のひとりが、夏美だったからだ。
凛が鳳条建設の内定を射止めた直後、夏美は親のコネクションを利用して同じく鳳条建設の内定を獲得した。当初夏美が所属したセクションが、情報管理課だったのだ。
「疑いたくないけど、どうしても夏美に仕組まれたような気がしてしまうんです。そんなふうに考えてしまう自分が嫌です」
死神が、凛の震える背中を優しく撫でた。ゆっくりと抱き寄せられて、死神の胸を涙で濡らした。スエットからは、甘い柔軟仕上げ剤の香りと、拓斗とは違う肌の匂いがした。
凛が鳳条建設の内定を射止めた直後、夏美は親のコネクションを利用して同じく鳳条建設の内定を獲得した。当初夏美が所属したセクションが、情報管理課だったのだ。
「疑いたくないけど、どうしても夏美に仕組まれたような気がしてしまうんです。そんなふうに考えてしまう自分が嫌です」
死神が、凛の震える背中を優しく撫でた。ゆっくりと抱き寄せられて、死神の胸を涙で濡らした。スエットからは、甘い柔軟仕上げ剤の香りと、拓斗とは違う肌の匂いがした。