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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第9章 湯の花温泉

『それ…、俺が今さっき
出したやつ、あっちで流して来…いや。
すぐに風呂入るけど…匂いするやろ?』

あっちと直哉が顎で
和室の入口の方をしゃくって来て。

そのまま自分はゴロンと…畳の上に
寝転んでゴロゴロとし始めた。

「わかりました…直哉様、
あちらで身体を流して参ります」

ゴロゴロとしている直哉に
一花が頭をさげて
和室から廊下に出た。

こちら側に洗面所やおトイレ
そしてバスルームの水回りが
纏めて配置されている様だった。

「凄い…大きいし…綺麗…」

大理石で出来たダブルボールの
洗面所は…1つ1つの洗面台が
かなり離れて設置してあって。
一緒に並んで洗面をしても
跳ねた水も掛からない距離だ。

横幅がかなり…長いし…、
その長い洗面台の長さの
大きな鏡が正面にあって。

洗面所の下の作り付けの棚には
バスタオル類が纏めて置いてある。

バスルームには…お屋敷に
比べたらこじんまりしてるが
ヒノキ風呂の浴槽がしつらえてあった。

『帰って来やへん思っとったら、
……なんや…まだ…、
こんなトコにおったんかいな。
シャワー浴びてへんの?』

そう後ろから声が聞こえて来て
一花が振り返ると
全裸の直哉がそこに立っていて。

さっきのとは同じ物とは
とても思えない股間の
ぶらぶらしているソレを
つい…ちらちらと見てしまっていた。

「いえ…つい、洗面所が凄い
広くて綺麗だなって…見ていたら……」

『この部屋気に入ったって事?
こっちの部屋…泊まるん
俺…初めてやねんけど…。
こっちは内風呂…ヒノキなんやなぁ…』

直哉様の言葉に違和感があった
彼がいつも利用する部屋は
この部屋では無いと言う事だ。

「え?」

『いや…、な…何でもあらへんで?
今…俺が言うたことは忘れとき。
ほら、全部…脱いで中入んで?』

いつも…涼しい顔をしているが、
珍しく…慌てた様子だったんだけど。
何に…そんなに…慌てる事が
あるのだろうかと…思いつつ。

一緒にそのままお風呂場に入ると
軽くだけシャワーで身体を流して
気になる部分を備え付けの
ボディソープでさっと洗い流した。


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