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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第11章 カゴノトリの生活

「お仕事の邪魔になってしまいますね…、
直哉様のお帰り…を、
一花はお待ちしておりますので…」

そう言って仕事の現場にいる
直哉に対して通話を切ろうとすると。

そのまま…通話を繋いだままで
1曲…演奏して欲しいと言うので…。
何を演奏しましょうかと…尋ねると
何でもいいとの返事だった。

お琴を買って貰った時に
自分がその宴席の為に練習している
3曲の楽譜以外にも練習用の
楽譜と…欲しいもんある?と
ついでみたいにして買ってくれた
千本桜を演奏する。

この曲は昔から大好きで
お琴を習ってた時も…弾いていたし
友達と行ったカラオケでも歌ったりしてた。

ーー


1曲演奏をし終えて…、
スマートフォンの向こうから
パチパチと拍手が聞こえる。

「も…申し訳…御座いません…、
お耳汚し…でございました……」

そうスマートフォンの向こうの
直哉に向かって一花が頭を下げる。

『そんな事あらへんで?
丁度…今、俺の仕事も済んだとこや…。
ええBGMになったわ…自分の演奏。
ほな、仕事も無事済んだこっちゃし。
今から…帰るわ…、帰ったら
また直接聞かせてぇや…』


ーーー
ーー



そう言って直哉様が
お屋敷に戻って来たのは…
それから2時間後位だったのだけど。

『はい、一花ちゃん。
コレ今日のお土産な…
お茶…立ててぇや…これで
一緒に茶ぁでも飲もうや』

直哉様がお風呂に行っている間に、
お土産を使用人さんに預けて
器に移し直して貰って。
私はその間に…お茶室の用意をする。

直哉様が来ればすぐに
お茶が立てられる様に
支度を済ませて待って居ると。
使用人さんがお土産のお茶菓子を
綺麗なお皿に移して持って来てくれて。

お土産は赤福と生ういろだったので、
確かにお抹茶と一緒に
頂くのに丁度いいかも知れないと
そんな風に思いつつ。
今日のお仕事は三重県だった様だ。

『一花ちゃん
入ってもええか?邪魔すんで』

「はい、どうぞ…お入り下さい」


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