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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第1章 はじまりは3月
『私』の運命は…、
この家に生まれた時から決まっていた。
私…の生まれた、宝生の家は
陰陽師の…一族の末裔だった…。
この令和のご時世に…陰陽師なんて…と
そんなのオカルトだのなんだのと…
漫画や小説の世界の話だろうと…
一般市民の皆様は…胡散臭いとお思いだろう。
が……、この令和の現代にも…
表舞台ではなく…裏の舞台に…
その…陰陽師達は今も…立っていて
闇の中で…欲と金にまみれて…
その…人の欲を食いぶちにして…
今も…歴史の裏側に存在している…。
私…の家は…、古く飛鳥時代より
陰陽師を生業にして栄えて来た
神室寺家(かむろじけ)の分家に当たるが
私には…生まれついて呪力は無かった。
そう、出来損ない…だった。
陰陽師には…なれない…私を…
呪力で人の価値を測る人間の集まりの
神室寺家が…受け入れる訳もなく…。
ただ…自分の…曾祖父が交わした
『約束』を果たす為…だけに…
この…家の前に…置いて行かれた。
立派な…お屋敷の前で…、
呼び鈴を…鳴らす事も出来ず…
私は…スーツケース1つ…を…
自分の傍らに置いたままで…
…しばらく…その場で立ち尽くしていた。
それが…2024年の
3月……1日の
私が高校を卒業した日…の
18歳の春の事…だった。
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