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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第3章 『私』のトリカゴ


『私』が…

この家に来て…2日が経った…。


私が…ここに来たのが
3月の1日だったから、
今日は多分…3月の3日のはずだ。

2日が過ぎて…気が付いた…んだけど、

この…直哉様のお屋敷には…

カレンダーも無ければ…テレビも無い。

そして……時計の1つすら…置かれていない。

日付も…時間も…外部の情報も…、

その全てから遮断された…場所だった。

こうして…整えられた中庭に出ると…。

空に…太陽が見えるし…

朝昼晩の…3回食事は提供されるから。

『ええ庭やろ?
…一花ちゃんは
昼間はずっと…庭におるなぁ…。
うちの庭、気に入ってくれたん?
なぁ、池に居る鯉にエサやる?』

敷地の内側…ではあるが、
建物の中にずっと居るよりは…、
外の空気が吸えるから……いい。

中庭…にある…池には…
錦鯉が居て…。その鯉に
エサをやるかと…直哉が
戯れの様に…こちらに尋ねて来る。

この人からすれば…私も
この池の中の鯉も…
同じ様な物なのかも知れない。

この人に…生かされている。
その点では…何も…変わらない…。

『一花ちゃん…
手、出してん?はい、これエサな』

ちょっと…生臭い匂いがする
ペレットのエサを…
直哉が一花の手の上に置いて
池の鯉にエサをやる様に促して来る。

「…エサ…食べたいみたい…」

私がエサを持って池の方に
近付くと口をパクパクとしながら
鯉がこっちに群がって来る。

『今日は…俺…仕事があるさかい』

「お仕事…」

『……と言う事やさかい…
俺の後、ついて来…。
案内するわ…、俺がおらんとき
限定の、一花ちゃんのお部屋な』


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