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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第7章 直哉様とお出掛け
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2024年3月4日…
直哉様のお屋敷に来て…
私は、3回目の朝を迎えていた。
チュンチュン…と…
屋敷の外で鳥がさえずる声が聞こえて。
一花は…布団のから
むっくりと…身体を起こした。
「……んんっ、もう…朝…?」
昨日の夜に布団に入った時に、
隣で眠っていたはずの…直哉の姿はなく。
布団はキチンと…畳まれていて
その畳んだ布団の上に寝巻も
畳んで置かれていたから。
もう…直哉様は、早くに起きて…
着替えも…済ませていると言う事だ。
『おはようございます、一花様
お目覚めになられましたでしょうか?』
そう…錦鯉の間の襖の向こうから、
使用人の女性の声が聞こえて。
『すっ…すいません…、
寝過ごしてしまいましたか?』
『いえ…、直哉様から
一花様に言伝を
お預りしております…のでお伝えを』
そう言って、少しだけ襖を開くと。
廊下の方からその使用人が
こちらに向かって頭を下げて来て。
こちらが…目覚めたばかりな事に
気を遣った配慮をして貰って居る様だった。
「あの……私は…神室寺家…の
分家筋…に当たる…家の出ではありますが。
その様に…貴方に…気を遣って頂く様な
そんな…身分の者ではありませんので…」
『直哉様は…ただ今…裏山に御座います
訓練所にて…訓練をなさっておられます…』
「……訓練…」
今は早朝だから…朝練…、
あの…普段の直哉の雰囲気から
そんな事をする感じには見えないが…。
ちゃんと……そう言う事…してたんだ…。
意外だ……。
『……その間に…一花様は
ご入浴と、支度を…朝食の前に
整えて置かれますようにと…』
そう言って…使用人の女性が
襖の向こうで…頭を下げて。
とりあえず…
入浴をしろと言う事らしいので。
先にお手洗いを済ませて、
廊下で…その人を待たせていたので。
「すいません、お待たせいたしました」
一花はお手洗いを済ませると
襖の向こう側に声を掛けた。