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カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く
第8章 先斗町のお茶屋
彼の…直哉様の…従順な
…ペットのままで私がこの先も…
居続けるには…邪魔な感情…でしかない。
そして…、なら…何故…彼が
直哉様が…この私の感情を…
悪戯に…煽りたがるのかも…また。
私が…知る必要も…無い事…でしかない。
答えを…求めた所で、
のらりくらりとした返答しか…
言葉しか…与えては貰えないのだろうから。
知りたいのか知りたくないのか、
聞きたいのか聞きたくないのか
自分の…気持ちが…迷子だ…。
直哉様に自分が
惹かれて…居るのだろうと…
自覚して…思う程に…迷う。
出口のない…迷路みたいだ。
ズブズブと…底の無い沼の
深みに嵌る予感しか…感じない。
『ここなら…邪魔も入らへんし
…さっきの続き…しよか?
…ちょっとだけ…しぃーへん?』
この後は…政府のお偉いさんと…
料亭で会食する予定なのだから。
こんな事を…こんな所で
してる場合じゃ…ないだろうに…。
私には…彼が…直哉様がする事に
拒否権はないのだから…
自分の首を縦に振るしかない…。
ちょっとだけ…と…言われて
されるキスも…、さっきのキスよりも
熱くて…呼吸をするのを…
忘れてしまいそうな…キスだ…。
「んっ…んんぅ…、ふっ、はぁ…ッ」
ぎゅっと…直哉の着物を掴んで
その息苦しさすら感じるキスを
一花は…ぎこちなく受け入れる。
『……ちゃんと…息しいや?』
「んんっ…、はぁ…、はぁ…、
す、…すいま…せ…んッ」
ペロッと…舌で…
唇を舐められてしまって。
ビクッと…身体を跳ねさせた。
『ホンマ…可愛いなぁ…自分…』
可愛いと…言われる度に…、
都合のいい勘違いを…してしまう。
「い…言わないで…下さい…ッ」
『何、何?照れてんの?
恥ずかしがってる…ん?
もっと…恥ずかしい事…ようさん
いっつも、俺にされとるんやで?』