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淫夢売ります
第22章 Deep Sea:溺れる深海
☆☆☆
週末、僕と佳奈は温泉宿に来ていた。バスで送迎をしてくれる非常にリーズナブルな宿で、予約も何もかも佳奈に任せてしまった。大学生カップルが温泉旅行なんてなんとなく年寄りくさい気もするが、最近の体調からすると、これくらいがちょうどいいのかもしれない。

佳奈と温泉に行くと約束をした日から、更に状態は悪化しており、頭の中はいつも霞がかかったようになっていた。

さっきまでしていたことを忘れることも頻回だったし、人から言われたことを聞き逃すこともとても増えた。
佳奈がだいぶ僕のことを心配していた。

温泉宿自体はリーズナブル、ということもあり、それほど広かったりきれいだったりはしない。宿と民宿の中間くらいの施設だった。ただ、温泉自体は本物のようで、かけ流しだった。

「温泉の質で選んだんだよ?」

と佳奈は自慢げに言っていた。

そんな宿なので、食事もそこそこだったし、風呂も内風呂があるわけではなく、大浴場があるだけだった。

大浴場は当然男女別・・・まあしょうがないよな。

別々に風呂に入り、部屋に戻ると、布団が敷いてあった。佳奈が微妙に布団を近づける。
「へへへへ・・・」
笑った顔が可愛い。なんだか、この顔を見ているだけで少し元気になった気がする。

時計の針が10時を指した。特にイベントのある宿でもないし、そもそも急速に来たのだ。そろそろ寝るかな・・・、と思った矢先、佳奈が耳元で囁く。

一緒に大浴場行かない?

今の時間なら、多分誰もいないから、きっと一緒に入れるよ・・・と。
その言葉に誘われて、僕は佳奈と一緒に浴衣姿で大浴場に向かった。

そっと、中を覗くと確かに誰もない。
「大丈夫かな?」
僕が呟くと、佳奈が、「実はね・・・」と教えてくれた。

宿の予約をした時、今日が彼氏の誕生日だって言ったら、じゃあサービスで大浴場夜の10時から二人の貸し切りにしてあげるって・・・。

だから・・・

「お風呂でセックス・・・しよ?」
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