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淫夢売ります
第23章 Deep Sea:人魚姫
☆☆☆
真人と温泉旅行に来た夜。大浴場で愛し合い、部屋に戻ってきたあとのことだ。
一見、真人はカードを身につけてもいないし、枕の下に入れてもないように見えた。
でも、わからない。
ちょっと躊躇したが、私はこっそり自分の枕の下にモルフェのカードを敷いた。布団をできるだけ近づける。『同じ床に入ること』と言われたからだ。
たくさんお風呂で愛し合ってのぼせたせいもあると思うし、今日までの間、真人が心配で私自身も良く眠れなかったせいもあるが、枕に頭がついた瞬間と言っていいほどの速度で、あっという間に私は眠りに落ちた。
そして、今、夢の中にいた。
「これが・・・夢?」
にわかには信じられなかった。普通、夢とはもっとぼんやりしているものではないだろうか?しっかりとした現実感があり、かつ、『夢だ』ということが認識されている。
私の眼前には、大きな城があった。まるで中世ヨーロッパの城だ。空を見ると灰色に曇っている。遠くに聞こえるかすかな潮騒と空気に交じる潮の匂いから察するに、この城は海辺に建っているようだ。
ここに、真人がいるのだろうか?
城の入口扉を押してみると、あっさりと開いた。中を覗いてみると、暗く、人気がない。入ってすぐのところは大広間であり、左右に回廊状の階段が二階に向かって伸びていた。奥には両開きの扉があり、二階には・・・
!?
真人?
大きな肖像画がかかっている。服装こそ、中世の王族のようなきらびやかな礼服であり、頭には冠をいただいているが、その顔は間違いなく真人だった。
私は城の中に入っていった。確かめなくては・・・。
回廊状の階段を上がり、肖像画の近くまで行く。その額縁を見ると『Herzog-Gemälde』とあった。拙い第二外国語の知識で見ると、『公爵像』とでも訳すのだろうか?ドイツ語だった。
確かに、この城に真人がおかしくなった何かしらの原因がある、と私は確信した。
「真人・・・」
その時、私は絵を見るのに夢中で気づかなかった。後ろから近づく男の存在に。彼の名前を呟いた瞬間、私の口は何者かに塞がれ、甘い花の香が鼻をついたと思うと、私の意識はあっという間に暗転した。
真人と温泉旅行に来た夜。大浴場で愛し合い、部屋に戻ってきたあとのことだ。
一見、真人はカードを身につけてもいないし、枕の下に入れてもないように見えた。
でも、わからない。
ちょっと躊躇したが、私はこっそり自分の枕の下にモルフェのカードを敷いた。布団をできるだけ近づける。『同じ床に入ること』と言われたからだ。
たくさんお風呂で愛し合ってのぼせたせいもあると思うし、今日までの間、真人が心配で私自身も良く眠れなかったせいもあるが、枕に頭がついた瞬間と言っていいほどの速度で、あっという間に私は眠りに落ちた。
そして、今、夢の中にいた。
「これが・・・夢?」
にわかには信じられなかった。普通、夢とはもっとぼんやりしているものではないだろうか?しっかりとした現実感があり、かつ、『夢だ』ということが認識されている。
私の眼前には、大きな城があった。まるで中世ヨーロッパの城だ。空を見ると灰色に曇っている。遠くに聞こえるかすかな潮騒と空気に交じる潮の匂いから察するに、この城は海辺に建っているようだ。
ここに、真人がいるのだろうか?
城の入口扉を押してみると、あっさりと開いた。中を覗いてみると、暗く、人気がない。入ってすぐのところは大広間であり、左右に回廊状の階段が二階に向かって伸びていた。奥には両開きの扉があり、二階には・・・
!?
真人?
大きな肖像画がかかっている。服装こそ、中世の王族のようなきらびやかな礼服であり、頭には冠をいただいているが、その顔は間違いなく真人だった。
私は城の中に入っていった。確かめなくては・・・。
回廊状の階段を上がり、肖像画の近くまで行く。その額縁を見ると『Herzog-Gemälde』とあった。拙い第二外国語の知識で見ると、『公爵像』とでも訳すのだろうか?ドイツ語だった。
確かに、この城に真人がおかしくなった何かしらの原因がある、と私は確信した。
「真人・・・」
その時、私は絵を見るのに夢中で気づかなかった。後ろから近づく男の存在に。彼の名前を呟いた瞬間、私の口は何者かに塞がれ、甘い花の香が鼻をついたと思うと、私の意識はあっという間に暗転した。