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淫夢売ります
第39章 仮面の夜会/二夜目:ダン・ル・テリエ

ノワールは、もう、最初に出会ったような紳士的な態度を示してはいなかった。私の肩をぐいと抱き寄せ、そのまま歩き出す。
「今日は、ジュエを使うよ」
そう言いながら、私を、バル・マスケの一階にあるバーの横にあるカウンターに連れて行った。そこには白色で羽根のような装飾のついた仮面をつけた、ギャルソンスタイルの女性がいた。
「ノワール様、今日はどのようなご用命で?」
機械的、とまでは言わないが、それほど感情がこもらないような口調で女性が言った。
「ジュエをいくつか見繕ってほしい」
「かしこまりました。ノルマル用でよろしいですか?」
「ああ、それと、デリエールも」
「ジェルもご用意しますね」
「頼む」
しばらくすると女性が小さい小包ほどの大きさの黒い木製の箱を持ってきた。
「お確かめください」
ノワールが箱を少し開き中を確認する。どうやら満足の行くものだったらしく、そのまま閉じた。私からは彼の身体で死角になっており、何がはいっているのかをうかがい知ることはできなかった。
「シャンブルはご使用になりますか?」
「ああ、シスを使いたい」
「今、丁度空いております」
「では、今から」
女性が後ろの棚から鍵を一つ取り出してノワールに渡した。鍵自体は新型のディンプルキーだが、そこにはアンティーク調の真鍮製と思われる飾り板でできたキーホルダーがつけられていた。板には凝った文字で「6」と刻まれていたので、その鍵が何らか6番目の部屋の鍵であることが推測できた。
ノワールは次に隣のバーカウンターに行き、これもまた白色、羽のついたマスクを身につけたバーテンダーの男性に何やら話をしていた。
着々と準備が進んでいる。周囲を囲まれ、だんだんと逃げるところを塞がれているような、そんな怖さにも似た期待が私を支配していた。
「今日は、ジュエを使うよ」
そう言いながら、私を、バル・マスケの一階にあるバーの横にあるカウンターに連れて行った。そこには白色で羽根のような装飾のついた仮面をつけた、ギャルソンスタイルの女性がいた。
「ノワール様、今日はどのようなご用命で?」
機械的、とまでは言わないが、それほど感情がこもらないような口調で女性が言った。
「ジュエをいくつか見繕ってほしい」
「かしこまりました。ノルマル用でよろしいですか?」
「ああ、それと、デリエールも」
「ジェルもご用意しますね」
「頼む」
しばらくすると女性が小さい小包ほどの大きさの黒い木製の箱を持ってきた。
「お確かめください」
ノワールが箱を少し開き中を確認する。どうやら満足の行くものだったらしく、そのまま閉じた。私からは彼の身体で死角になっており、何がはいっているのかをうかがい知ることはできなかった。
「シャンブルはご使用になりますか?」
「ああ、シスを使いたい」
「今、丁度空いております」
「では、今から」
女性が後ろの棚から鍵を一つ取り出してノワールに渡した。鍵自体は新型のディンプルキーだが、そこにはアンティーク調の真鍮製と思われる飾り板でできたキーホルダーがつけられていた。板には凝った文字で「6」と刻まれていたので、その鍵が何らか6番目の部屋の鍵であることが推測できた。
ノワールは次に隣のバーカウンターに行き、これもまた白色、羽のついたマスクを身につけたバーテンダーの男性に何やら話をしていた。
着々と準備が進んでいる。周囲を囲まれ、だんだんと逃げるところを塞がれているような、そんな怖さにも似た期待が私を支配していた。

