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淫夢売ります
第43章 淫らな選択:開かれる心
夢から覚める方法を、と言いかけて、そこで言い淀んでしまう。一体、なんと言えばいいのだろうか?ストレートに言っても理解されないかもしれない。
しかし、あにはからんや、杉村は簡単にこう言ってのけた。

「夢から覚める方法を知りたい?・・・そうなのですね?」

え?・・・と一瞬、こちらのほうが混乱してしまった。夢の中にいて、これが夢だとわかることも異常だが、夢の中の人物から『夢から覚める方法』などという言葉が出るのも、想定外だったからだ。

「ふふ・・・わかりました。お教えしますよ・・・
 ただしね、タダとはいきません。」
「え?それって・・・」
「昨晩触れたあなたの身体・・・とても魅力的でした。
 どうでしょう?一度だけ、痴漢を体験してはいただけませんか?」

痴漢を体験・・・
その言葉で私の胸はドキリと強く跳ねた。

「いや・・・そんな・・・」
「大丈夫ですよ、沢渡さん・・・これは所詮夢、ただの夢です。
 たった一度でいいんです。夢の中です・・・あなたの身体にはなんの傷も残りません。
 目が覚めれば全てはなかったことになるんです。
 だからね?どうですか・・・
 したことがない体験、普段の生活では決して足を踏み入れることがないところに、いらしてみませんか?」

夢・・・そう、夢・・・

指の感触を思い出す。そっと私の乳首に迫ってきた、節くれだって、少しザラッとしていて、それでいて熱い指先・・・

でも、だけど・・・。ためらいが、返事を遅くする。
私の心はぐるりと高い壁に囲まれているみたいで、全く自由がなかった。
しかし、その壁に杉村の言葉が揺さぶりをかけてくる。

「自分の身体の中の欲望を・・・知りたい・・・違うの?」

身体の奥が、熱くなる。
なんでなの?なんで、こんなに身体が、震えるの?

ドクン、ドクンと心臓が高鳴る。
首筋の血管が激しく脈動し、頭の芯まで熱くなっていく。

「興味、あるんでしょ?」

熱に浮かされたように私は、その言葉に頷いていた。
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