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淫夢売ります
第44章 淫らな選択:戻れない・・・
杉村に手を引かれ、足がもつれそうになりながら、私はホームに連れ出された。この時すでに私の下着は上も下も男たちに剥ぎ取られてしまっていた。
そして、電車の中の淫らな行為のせいで溢れ出た女の蜜で、ベッタリと濡れてしまったスカートの沁みを隠すため、持っていたバッグを抱え込むようにせざるを得ない。

恥ずかしくて、死んでしまいそうだった。

それでも電車を降ろされたところで、少し安心したということもあった。これ以上、衆目の中で身体を弄られたら気が触れてしまいそうだったからだ。

とにかく、一旦家に戻って・・・
そう思った私の手を、ぐっと杉村が握る。

「ふふ・・・その格好じゃあ、次の電車に乗れませんね・・・ちょっと、お着替えしましょうか」

その言葉に、また、私は軽いめまいを覚えた。
彼は、まだまだ私を解放する気などなかったのだ。

「ちょうどいいですね。ここ、ホテル街ですよ・・・休憩がてら、お着替えといきましょう」

杉村は有無を言わせない様子で、私を改札から連れ出し、駅の裏側にある派手な装飾のあるホテルに連れ込んだ。入口にパネルのようなものがあり、空室は電気がついていて、使用中の部屋は電気が消えているらしい。杉村は適当な部屋のボタンを押して、顔が見えないような薄暗いフロントで鍵を受け取っていた。

「さ、行きましょう」

こんな形式のホテルは初めてだが、ここがいわゆる『ラブホテル』といわれる種類のホテルであることは分かった。薄暗い廊下を抜け、少しタバコの匂いがする狭いエレベーターで三階へ。手を引かれるままに部屋に入る。

・・・これが?

電気がパッとつくと、存外、広くて綺麗な部屋だった。部屋の中央には真紅のベッドカバーに覆われた大きなベッドがまず目を引いた。そして、部屋全体は天井を縁取るように走る柔らかな間接照明が、ブロンズゴールドに輝く幾何学模様の壁を艶めかしく照らし出していた。

「さ、時子さん・・・とりあえずシャワーを浴びておいでよ。あちこちぬるぬるでさっぱりしたいでしょ?」

とん、と背中を押される。なんだか不思議な気分だ。さっきまで私に凌辱の限りを尽くしていた男が、一転、私の体を気遣ってくれているように感じたからだ。
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