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淫夢売ります
第10章 花と蜜:淫らな蜜
☆☆☆
はっと目が覚めた。
時計の針の音が闇に響く。うちの時計はクオーツではなく、夫が骨董品屋で買ってきたので、古式ゆかしく「コチ、コチ、コチ」と音がなる。
まだ夜中の3時だ。

「夢・・・?」

どうやら夢を見ていたようだった。新婚旅行で行ったバリ島・・・、たしかにあの部屋だった。

夢の内容を仔細に思い出し、思わず顔を赤らめる。
なんか・・・すごかった・・・。
夫が・・・淳也に激しく求められることが、あんなに深い満足をもたらすなんて・・・。

夢の余韻がまだ冷めないのか、横ですーすーと軽い寝息を立てている夫を見て、たまらなく愛おしくなる。

「あ・・・」

思わず、股間に手をやると、ひやりと冷たい感触がする。
すっかり、下着の中がビチャビチャになっているようだ。

『結構・・・すごかったので・・・注意して下さいね』と言った篠田さんの気持ちがわかった。たしかにすごい・・・。

ちょっとこのままじゃ眠れそうになかったので、起き出して、浴室に向かう。
下着を脱ぐと、軽くシャワーを浴びて秘芯のほてりを冷ますように軽く洗う。
シャワーの水流が刺激になって、また感じてしまいそうになるが、ここで、オナニーなんか始めてしまったら明日に障りそうだ。

がまん、がまん・・・。

体を拭くと下着を新しくし、もう一度ベッドに戻る。
おっと、その前に・・・
私は枕の下からカードを取り出すと、サイドテーブルに伏せて置いた。
このまま寝たら、また淫夢に飲まれてしまって大変なことになってしまいそうだ。
カードはどうやら何度でも使えそうだから、また明日にしよう。

すやすやと安らかな表情で寝ている夫の腕にそっとしがみついてみる。ほの温かい体温。夏が近く、若干暑くもなってきたので、ずっとこうしてはいられないが、ほんの少しだけでも、夢の余韻を楽しみたかった。

そういえば、久しぶりに夫の体臭を感じる。
静かに首筋に顔を近づけると、より強く薫る。

うん・・・嫌いじゃない。そのまま軽く、首筋にキスをした。

誰だったか、職場の子が「匂いが好きな人とは身体の相性がいいんだって」と教えてくれた。彼も、私の匂いを好きだと思ってくれるのかな・・・。そうだといいな・・・。

深い満足感の中、私はすーっと深い眠りに落ちることができた。
眠り際、気のせいかも知れないが、あの花の匂いがふんわりとしたような気がした。
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