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淫夢売ります
第11章 絡まる糸:意識する私
「料金ですが、1鑑定あたり2,000円となります」
なるほど、先払いか。これが占いとして高いのか安いのかの判別が私にはつかないが、目玉がとびでるほどではないか・・・。
私は財布から2,000円を取り出すとユメノに手渡す。

「では、始めますね。最近見た夢で、なにか印象に残っているものがあったら教えてください。なければ、最近ではなく、小さい頃に見た夢とかでもいいですよ。」

私はちょっと考えて、そういえばと、昨晩見た夢を語った。

「私は近所の道を歩いているんです。
 そこに、向こうから見知らぬ男性が歩いてました。
 男性は突然私に
 『なんでこんなところに?』
 と言いました。」

それだけです、と付け加えて話を終わらせた。こんなのでいいのだろうか?

「ふーん・・・なるほどですね」
ユメノは唇に右手の人差し指を当てて、考える素振りを見せる。
「その男性はどういう男性でしたか?年齢とか、格好とか」

「正直覚えていないですけど、私よりはだいぶ年上だと思います。あと・・・多分、スーツを着て、帽子を被っていました。」
「『なんでこんなところに?』というセリフはどういうニュアンスでしたか?不思議がっている感じですか?不審な?それとも、責めている?」
「どちらかというと、責めている感じでした」
「貴女はどんな格好をしていたんですか?」
・・・私?
「覚えていません・・・」

そうですか・・・、とユメノは考え込む。これで何が分かるのだろうか?

「夢は一般的に心のなかに眠る欲望を表すと言われています。ただ、それがストレートに表現されることは稀で、『圧縮』されたり『歪曲』されたりなどの編集を受けると言われています。
 つまり、都合の悪いところが切り取られたり、違うもので置き換えられたりするというわけです。
 貴女の夢の場合もそれに当てはまりそうですね。」
どういうことだろう?
「夢の中の男性は、あなたに「禁止」をしています。貴女が何かをした、それをその男性は咎めたわけです。そこには『圧縮』があります。」
さらに言えば、とユメノは続ける。
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