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淫夢売ります
第11章 絡まる糸:意識する私
☆☆☆
結局、桜井とはメッセージアプリのIDを交換させられてしまった。
そして、今、彼とメッセージアプリの音声電話が繋がっている。私は彼の指示をイヤホンで聞いている状態だ。

彼の指示通り、私は午後休みを取ることとなった。そして、イヤホン越しに先程から彼の声でいくつもの指示が飛んでくる。

『東大通りを駅に向けて歩いて下さい』
『泉さん、ブラウスのボタンをひとつ外して下さい』

最初無視をしていたが、すぐに、

『無視をするなんて冷たいな・・・。
 間違って、写真を誰かに送付しちゃいそうですよ』

と言ってくる。耳元で淫靡に囁く声に、はからずもドキドキしてしまう。

彼は、見ているのだ。どこからか。
仕方がなく、ブラウスの一番上のボタンをひとつ外す。

『別に一番上を、なんて言ってませんけどね・・・
 やっぱり見られたいんですか?』

カッと顔が熱くなる。
弄ばれている。

『日野上ビルのエントランスに入って下さい』
『入ると、すぐ左にトイレがあります。
 そこのだれでもトイレに入って下さい』

ビルに入って周囲を見る。桜井の姿は見えない。
見えないが・・・。

『そこ、我が社のビルです。防犯カメラで貴女のことはよく見えますよ』

このまま逃げてしまおうと思っていたが、見透かされていた。

『トイレの中に、新しいストッキングとお洋服を用意しました。
 着替えて下さい』

指示通りトイレに入ると、いつの間に用意したのか、服とストッキングがあった。
ストッキングを袋から出して、私は目を見張る。股の部分が円形に抜けているストッキングだ。
こんなのがあるのか・・・。

服はスーツだったが、今着ているものよりもずっと丈が短い。

『ご自身の服は紙袋に入れて、そこに置いていってくださいね
 あとで、ご自宅にお送りします』

逆らうわけにはいかなかった。着替えると鏡に映る自分に赤面をする。
ブラウスのボタンをひとつ外し、胸が見えそうになっている。スーツの上があるので、かろうじて乳首が透けるなどということはないが、恥ずかしいことこの上ない。

下は膝上10センチほどもあり、ともすれば、円形に抜けたお尻や陰毛が見えてしまうのではないかと思うほどだ。

『トイレから出たら、エスカレーターに乗ってみましょうか
 お尻を手で隠すとか、なしですよ♪』
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