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第4章 始まり…

女が事務所を出たのを確かめて、ずっとパソコンに向かっていた朝霧に声を掛けた。


「朝霧さん… あの…大丈夫ですか？｣


我ながら、滑稽だと思う…


「何がですか？｣

何事もないといった風に彼女はニコリと笑うが…
どこか儚げで、まるで消えてしまうのではないかとさえ思えた。


「朝霧さんっ…｣


何かに耐えるように彼女を抱き締め、その唇を奪うように口付ける…

何度も…
何度も角度を変えて…


「里桜…｣

ブラウスのボタンに手をかけると、ピクリと反応を示す里桜…


彼女の瞳からは、涙が溢れていた。


「先生も、私とヤりたいの？｣


感情の籠らない声…

何も映さない瞳…


「ごめんね…里桜｣


感情に任せて彼女を抱いたら、アイツと一緒じゃないか。


声をたてずになき続ける彼女を、彼女が落ち着きを取り戻すまで腕の中に抱き締め続けた。