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不愛想な騎士団長から溺愛されるまで
第1章 不愛想な騎士団長
「ある日、村を回っていた父が、母に気づいたんです。母は、あの時の子供だと私を差し出して……父の跡を継ぐ兄は、身体が弱かった為に、私と母は父に引き取られたのです。それで私は、貴族の教育を受ける事ができたのです。」

「して、母親は?」

「父の家に住んでいますが、半ば放置されています。農家の娘に子供を産ませたなど、父の恥であると言われて。」

「そうだったのか。」

その話を聞いて、なぜ学園にいる間、大人しかったのかようやく理解ができた。

同情は、彼にとって慰めにもならないけれど、なぜか彼を救いたかった。


「父上、騎士団長の地位を与えては?」

「騎士団長?騎士団長なら、既におるが?」

「もう年老いて、騎士団長の意味もありません。実際、今回の遠征で騎士団長は出兵できなかったではありませんか。」
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