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きのうの夜は
第3章 揺れる思い
「私にテニスなんてできるのかしら?」
「大丈夫さ…俺がいるから…」
「ありがとう、吉村さん…」
「それよりさ、いくらこうして俺がお前の為にしてやっても、どうせ旦那の所に帰るんだろう?」
「え?」
「お前、旦那と別れる気はないんだろ?」
私はこの話しをされるととても辛くなった。
確かに、もう雅之との関係は冷めきっていた。
義母との間にも何だか大きな溝ができている。
それも、これも、全ては子供の事が原因だった。
でも、もう私は雅之の子供を産む気にはなれないでいた。
離婚も頭をよぎる。
だが、それに踏み出せない自分が居たのだ。
吉村がこんな話をするのは今日が初めてではなかった。
身体の関係になり、密かにこうして付き合い始めた時から吉村は私に言ってきたことなのだ。
「いつ、旦那とは別れるんだ?」
「いつ、家を出てくれるんだ?」
そんな事を毎回言われていた様に思う。
結婚してから5年になる。
結婚した翌年からの4年間ずっと「子供はまだか?子供はまだか?」と言われ続けて来た。
正直、私はうんざりしていたのだ。
あらゆる全ての関係からある意味、自由になりたいと思い始めていた。
私の心は激しく揺れ動いていた。